・『夜と霧 新版』 (単行本)
ヴィクトール・E・フランクル (著), 池田 香代子 (翻訳)
あまりにも名高い本ですね。実は初読なのです。お恥しい。絶大なる感動を喚起する本であり、歴史の一次資料でもあります。
こういう極限状況の人間の姿を知ると、だらけきった我が身に引締るものを与えてくれますね。
ここまでの悲劇に遭うことはさすがにないでしょうけど、もし自分に耐え切れないような災厄が降り注いだとき、本書が教えてくれた幾多の言葉は示唆となるように思いました。すなわち、シミュレーションとしての活用、の可能性です。
もっとも本当に苛酷な災難に直面したら、そんなイメージトレーニングは、毛ほどの役にも立たないかもしれません。でも、全く想定したことがない場合よりは、少しはマシになるかも、という気もします。地震への備えのように。
具体例も色々ありましたからね。一日一回配給されるほんの小さなパンをいつ・どう食べるべきか? フランクルの答は、泣けます。
また、私の好きなドストエフスキーも引かれています。
《かつてドストエフスキーはこう言った。
「わたしが恐れるのはただひとつ、わたしがわたしの苦悩に値しない人間になることだ」
この究極の、そしてけっして失われることのない人間の内なる自由を、収容所におけるふるまいや苦しみや死によって証していたあの殉教者のような人びとを知った人は、ドストエフスキーのこの言葉を繰り返し噛みしめることだろう。》(p.112)
やはり本物の文学(の言葉)は、最悪の状態でも輝くのでしょう。本書には、トルストイの『復活』(ただし映画)の話も出てきます。